[ニュースレターNo.24_INDEX]

雑木林のような学校を

文/大島小学校長 山本敬一
大島小学校だより「おおしま」第54号(平成13年12月19日発行)より転載

 今、大島小学校は、ビオトープ作りや湧き水調査隊、ホーム・ステイの実施等、新しい取組が子供たちの活動意欲を引き出していると県内で注目されています。その中で、14年度からより特徴のある教育活動をどう組むかを課題に準備を進めているところです。
 私は以前から「21世紀は里山の時代」と言ってきました。今回は「里山の自然」を通して、学校に対する持論を紹介します。

 里山は、文字通り人里近くの山です。一般にそこに広がる自然は、雑木林と称されてきました。雑木とは、用材として役に立たない木ということで、スギ植林やマツ林より低く評価されてきました。しかし、土の文化のヨーロッパ人と違って、日本人は己の文化の中で、うまく木と付き合ってきました。中でも雑木林との関わりが、非常に巧みでした。
 桃太郎ではありませんが、お爺さんは山へシバ刈りに行きます。このシバは芝ではありません。柴即ち小さな雑木なのです。焚き付け用に刈りに行きました。それは、アクシバ、サワシバ、タムシバ(この辺ではコブシと呼んでいる。)等の名前に名残があります。

アクシバ
アクシバ
タムシバ
タムシバ(コブシ)

 

コナラ
コナラ

 

 雑木林の主役はコナラ、ミズナラです。その下枝も刈って、同じように焚き付けに使います。幹は炭焼き用です。炭焼きは20年から30年のローテーションで、林を切り開きます。このローテーション間隔がナラ材の再生回復期間と一致しています。全山一度に切らないので、林は常に維持され、安定していました。むしろ、適度な伐採が林を構成する樹種を豊かにし、林床の草木の生育を保障したのです。

 

 春、雪解けからの雑木林を観察すると、最初に目に入るのが、緑の葉を残して冬を越したショウジョウバカマ、オオミスミソウ(ユキワリソウ)、コシ丿カンアオイ等の草本類です。
ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ
オオミスミソウ
オオミスミソウ(ユキワリソウ)
コシノカンアオイ
コシノカンアオイ

 

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